新設した病院で1年間の細菌汚染を追跡
ある病院で細菌の追跡記録が行われ、院内感染症の低減に役立つ可能性のある知見が報告された。研究グループは、米シカゴ大学が新たにオープンした病院、Center for Care and Discoveryで12カ月にわたり壁や床、空気、水から1万点を超える検体を採取し、患者252人からも検体を採取したうえで、分析を行った。検体の採取は、2013年2月のオープンの2カ月前から実施し、オープン後10カ月まで継続された。
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その結果、6,523点の検体から細菌のDNAが検出された。建物内に人が入るようになると、細菌の組成は急激に変化したという。研究著者であるシカゴ大学微生物叢センターのJack Gilbert氏は、「オープン前には、病院内の細菌は比較的多様性に乏しかったが、患者や医師、看護師が出入りするようになるとすぐに、ヒトの皮膚に由来する細菌が優勢となった」と述べている。
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もう1つの興味深い所見は、病室内での細菌の動きはすぐに“逆流”することであった。患者の入院初日には、細菌が病室の壁や床から患者に向かって移動する傾向がみられたが、その後はほとんどの細菌が患者から病室内へと移動することが分かった。「24時間以内に、患者の微生物叢(細菌組成)が病院(病室)の空間を占領する」とGilbert氏は話す。
また、患者が長く病室に滞在するほど、細菌の薬剤耐性化の危険が高まることも判明した。長期入院患者92人の病室から検体を採取した結果、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの細菌は、薬剤耐性を増大させて宿主感染を促進する遺伝子を上手く獲得することが明らかにされた。「細菌が組織に侵入したり、標準治療を逃れたりする能力に、このような遺伝子の変化が影響している可能性がある」とGilbert氏は指摘している。
研究グループは、このような知見は他の病院における感染拡大防止にも有用であるとの考えを示している。Gilbert氏は、大規模な病院環境における細菌の入れ替わりや相互作用に関する詳細なマップを作成した結果、建物内の細菌の生態系は定期的に患者と無害に相互作用しており、少なくともほとんどの人に悪影響はないようだと話している。
https://blogs.yahoo.co.jp/uraeloene/18085720.html